「同性カップル里親」関連

※2017年4月、大阪市の男性カップルが里親認定されたという報道があり、厚労大臣が容認する姿勢を示しました。

その後、各自治体において運用改善が進み、東京都においても2018年10月以降、事実上同性カップルの里親認定が可能となりました。2017年4月以降の報道を以下にまとめています。今後も、新たな情報をアップしていく予定です。

 

国の動き

2019年10月1日  厚生労働省から通知 

厚生労働省から「里親希望者が単身、共働き、LGBT等である場合の取扱いについて」という通知が出ました。

その中で「里親希望者が単身、共働き、LGBT等」である場合でも、登録・認定・里親家庭の選定(委託)は、夫婦(働く夫&専業主婦)のケースなどと同様に、要件に沿ってその可否を判断すべき(←「単身、共働き、LGBT」自体がマイナスにならないということ)、としています。

里親候補の属性を「夫婦」ベースで考えがちの自治体も存在しているようですが、厚労省が出している通知の通り、属性やセクシュアリティにとらわれることなく、その人自身の熱意や経験などをしっかりと見てほしいと思います。 

※厚生労働省のサイトに広報誌『厚生労働』2021年5月号の記事が転載されています。子ども家庭局局長からも通知の内容が語られています。

子ども家庭局局長 渡辺由美子さん「里親になる場合は基本的な財力などが条件としてありますが、一番大切なことは『子どもに対する熱意』です。そのため、子育て経験のない人や単身世帯、共働き世帯、LGBTの人でも里親になることができます。」

※上記の通知に関しては、2019年5月24日、厚生労働委員会において、

尾辻かな子衆議院議員が、

「同性同士も里親になれる、との通知をしないのか」

と質問し、根本厚労大臣が

「多くの方に里親の担い手となっていただけるように、引き続いて、御指摘の同性同士の場合も含め、単身者や共働き世帯でも里親になれることなどについて、各自治体に通知するほか、幅広い周知啓発に取り組んでいきたいと考えています」

と答弁したという経緯がありました。 

自治体の動き

東京都

2022年10月19日 東京都決算特別委員会で同性カップル里親に関する質問

龍円あいり議員の質問に対して、東京都福祉保健局より、以下の回答がありました。

 

平成30年度の改正後、昨年度末までに新たな基準を適用した認定件数は11件あり、その中では、養育家庭としてのほか、一時保護で児童を受け入れていただいている家庭もある。

 

 

〇今年度からは、同居状態の安定性や継続性を考慮した上で、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められるときには、双方を「里親」として認定できるよう基準を改正している。(2018年の要件緩和より進んだ改正です)

 

東京都里親認定基準解説(令和4年3月31日)

には、「婚姻の届出をしていないが、その同居状態の安定性、継続性を十分に考慮し、 事実上婚姻関係と同様の事情にある者(同性パートナーを含む。は『配偶者』と みなす」との文言が加えられました。

2018年5月18日 東京都、同性カップル里親報道

かねてから「同性カップルが排除されている」と指摘されていた東京都の里親認定基準(夫婦が原則とされ、単身者の要件が厳格でした)ですが、
2018年10月より新しい基準が施行となることが発表されました。

レインボーフォスターケアでは2014年以降、東京都に要望書を出し、都と都議のみなさま、都の委員の方に働きかけをしてまいりました。東京都には、里親家庭を待っているお子さんがたくさんおられます。一つでも多くの里親家庭が増えることを願います。

埼玉県

2018年3月20日 埼玉県議会にて同性カップルの里親に関する答弁

【埼玉県知事が井上將勝県議の質問に前向きな答弁をしました】

◎県が定める里親条件を満たしていている限り、同性カップルというだけで認定・委託の場面で不利益な扱いは決してしない。
◎同性カップルの方も里親申請してくださることはある意味ありがたいこと。
◎県の里親申請案内、特にホームページに「同性カップルも申請できること」を明記することはすぐできること。
との、全国的にも踏み込んだ前向きな答弁。

答弁のあと、埼玉県「里親制度Q&A」に下記の記述が加わりました。

Q9 単身者や同性カップルでも里親になれますか?
A 子供の養育に理解や熱意、豊かな愛情を持っていること、経済的に困窮していないなどの認定要件を満たしていれば、認定できますただし、単身者の場合、知識や経験を有する等子供を適切に養育できることや養育を支援する環境等があることなどが認定要件となります。

横須賀市

2017年9月26日 横須賀市議会にて同性カップルの里親に関する答弁

【横須賀市長が藤野英明市議の質問に前向きな答弁をしました】

「性的指向・性自認にかかわらず、他の里親希望者と同様の里親認定のプロセスを受けられるようにすべきではないでしょうか。」

「これまで同性カップルからの相談実績はありませんが、ご相談いただければ普通のプロセスを踏んだ上で可否を判断していくことになっています。」

答弁のあと、横須賀市「里親制度Q&A」に、下記の記述が加わりました。

Q8)単身者や同性カップルでも里親になれますか?
A8)養育里親の場合、単身者や同性カップルであるということで里親になれないという事はありません子どもの養育についての理解、熱意また愛情を有しているかなど、生活の安定と子どもを適切に養育できるかの要件を満たしているかを十分確認させていただいたうえで判断いたします。

群馬県

2017年6月7日 毎日新聞(群馬版)「養育里親 LGBT除外せず」

【群馬県子ども未来部長が小川晶県議の質問に「LGBTカップルを排除しない」と前向きな答弁をしました。】

群馬県は5日、性的少数者(LGBT)のカップルであっても、一定の要件を満たせば、里親として認定する意向を明らかにした。

メディア掲載

報道後、さまざまな批判がネット上にあふれかえりましたが、それに応える論考です。(代表・藤)

大阪市の認定に至るまでの活動について、代表の藤がインタビューを受けました。ヤフーのトップニュースに取り上げられ、大きな反響がありました。

 

報道が及ぼす影響に関する代表・藤の論考です。

報道があった日の代表・藤のインタビュー。

 

 

【施設出身者、里親など多くの声が掲載されています。】

「女性カップルの里親がいてくれたら、自分のような子どもが安心して暮らせる場所ができるのではないか」

 幼少時から18歳まで県内の児童養護施設で過ごした女性は、LGBT里親に期待を寄せる。施設にいた時、男子児童から性的暴行を受けたことがある。男性への恐怖心は今も消えない。「愛し合って一緒に暮らしている2人が愛情を持って子どもに接してくれるなら、性別は関係ない」と強調する。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 同性カップルの里親実現に取り組む一般社団法人レインボーフォスターケア(さいたま市)の藤めぐみ代表理事は「それぞれ個人で里親認定を受け後に一緒に養育している同性カップルなどはあった。以前は里親を申し出た同性愛の女性が役所から『男性と結婚してからにして下さい』と言われたりしたが、熱心だった淀川区長さん(榊正文前区長)と私たちが意見交換を重ねたことを機に実現した」と喜ぶ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2017年4月18日 朝日新聞 「男性カップルが養育里親に 固定観念を超え」

【2014~2015年の申し入れの状況が詳しく書かれています。「冊子」は「さとおやオピニオン」です。】

 

2017.4.18  朝日新聞朝刊より

「性的少数者(LGBT)も里親になれるよう、積極的に呼びかけてほしい」。
2014年5月、LGBTと里親制度について考える一般社団法人レインボーフォスターケア(さいたま市)代表理事の藤めぐみさん(42)が、大阪市の淀川区役所で訴えた。
15年7月、淀川区の呼びかけで、里親制度を担う市こども相談センター職員らとの意見交換会が開かれた。藤さんは各地のLGBT当事者や里親らから集めた体験や意見を冊子にまとめ、提出。冊子では、10年以上前、女性パートナーと暮らす女性が、里親になって社会貢献したいと大阪市に電話で相談したが、「結婚していないとできない」と言われた例を紹介した。他の当事者も「断られるだろうというイメージ」「子どもが変な目で見られないか心配」と相談をためらう心境を寄せた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【レインボーフォスターケアが過去に申し入れをしてきた東京都を含め、全国調査の結果が掲載されています。】

 

2017.4.16 毎日新聞朝刊より
性的少数者が里親の担い手になることを目指す一般社団法人「レインボーフォスターケア」の藤めぐみ代表理事の話

東京都の基準は子どもが安心して家庭で過ごせる可能性を狭めており国際的な流れにも反している。一方で多くの自治体が同性カップルであることを理由に排除せず、本人の資質で判断する姿勢であることは良かった。離婚し同性のパートナーと子育てするなど、既に一般の夫婦と同様に育児をする事実を知ってほしい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2017年4月11日 北海道新聞 「私たちは里親登録できないと思っていた」

【北海道新聞の追加取材で、里親になろうとして断られた事例、諦めた事例が判明しています。】

 

2017.4.11 北海道新聞朝刊より
一般社団法人レインボーフォスターケア(さいたま市)の藤めぐみ代表理事(42)は「職員の認識不足やで断られたというケースは少なくない。LGBTに対する偏見も根強い」と指摘する。インターネットなどでは「子どもがかわいそう」「親のエゴだ」など批判的な声もある。
 だが、親元で暮らせない子どもは全国で約4万5千人(16年3月末現在)。国は里親委託を推進するが、登録里親数は約1万人(同)にとどまる。藤代表理事は「一人でも多くの子どもが愛情ある家庭で育つ権利を守るために、LGBTを担い手として考えても良いのではないか」。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2017年4月6日 朝日新聞 男性カップルが里親に

2017.4.6 朝日新聞夕刊より

一般社団法人レインボーフォスターケア(さいたま市)代表理事の藤めぐみさん(42)は「市が同性カップルを世帯として受け止めたことに意義がある。多様な子どもがいるなかで里親の選択肢も多様であっていい」と話す。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【こちらの記事が最も詳しく、当事者が里親になった経緯が記されています。】

Osaka the first city in Japan to certify gay couple as foster parents

“The places that can accept children will increase if there are various types of foster parents, and not just male-female couples,” said Megumi Fuji, who heads Rainbow Foster Care, which supports allowing same-sex couples to become foster parents.

According to Fuji, many same-sex couples looking to become prospective parents have been rejected by public authorities. They are told, “Children will never be fostered” by same-sex couples or “couples of friends are not accepted.”

“It is very small-minded to think that only couples of men and women can realize an ideal family,” Fuji said. “Whether they have an aptitude for raising children is important.”

(日本語訳)※同様の記事は新潟日報、神戸新聞等に掲載されています。

里親希望の同性カップルを支援する一般社団法人レインボーフォスターケアの代表理事藤めぐみさんは「男女のカップルに限らず、多様な里親がいる方が子どもの受け入れ先は広がる」と訴える。 国内では、里親希望の同性カップルが問い合わせで「絶対に委託はない」「友達同士では駄目」と拒否されるケースもあったという。藤さんは「男女の両親だけでしか理想の家族はできないというのは非常に狭い考え方。子育ての適性があるかどうかが重要だ」と強調する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー